高砂青年会議所 理事長所信
■ 一般社団法人 高砂青年会議所 2023年度 LOMスローガン
未来奏出ハーモニー ~ まちづくり人づくりの相乗効果 ~
- 何事にも挑戦して新時代を切り拓く
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- 一、求心力あるまちづくり
- 一、躍動する青少年育成
- 一、盤石な基盤の組織構築
- 一、共栄する会員拡大
■ 一般社団法人 高砂青年会議所 2023年度 理事長所信 ——- 第64代理事長 塩﨑 篤史
- 一般社団法人高砂青年会議所設立は1960年に設立され、2023年で64年目を迎えます。青年会議所は40歳で卒業となるため、組織としての高砂青年会議所は現在のメンバーの誰よりも長く活動をしてきたことになります。これはひとえに諸先輩の情熱と弛まぬ努力の賜物であります。深く敬意を表するとともに心より御礼申し上げます。
私は2017年にご縁があって高砂青年会議所に入会致しました。私は出身地である高砂で仕事をして市民の方々の力になりたいという想いがあり、入会の前年の2016年に県外から高砂に戻ってきたところでありました。高砂で仕事をし始めて間もない私にとって、高砂青年会議所に入会したことは人脈が各段に広がって深い友情を得る端緒となりました。また、高砂青年会議所での活動は、これまで何気なく生活し仕事をしてきた中では経験したことのない、非常に刺激的で好奇心あふれるものでした。会議の場では、メンバーから私自身が持ち得ていなかった知識や、多角的視点からの意見等を得ることができ、修練の場に身を置くことで自身の成長を感じることもありました。そして、青年会議所は、「明るい豊かな社会の実現」を目的として運動・活動していくことが趣旨とされています。高砂青年会議所では、メンバーのみならず、市民の方々や関係諸団体の協力も得ながら、地域に奉仕して人とまちの発展のために行動を興してきました。その活動の過程で、目標を達成したときには喜びを分かち合い、成果が表れなかったときには多くの気付きや反省の機会が得られました。これは青年会議所にとっても、メンバー個人にとっても、かけがえのない財産です。
このような魅力にあふれ、何事にも代えがたいかけがえのない経験ができる組織が、高砂青年会議所です。私が高砂青年会議所第64代理事長を拝命するにあたって、設立から連綿と引き継がれてきた伝統と歴史を風化させず、地域の未来のためにより良い運動・活動ができるよう昇華させる所存でございます。
- 現在の世界の政治経済情勢は、2020年から発生した新型コロナウイルスや、ロシアのウクライナ侵攻による戦争など、社会的不安が蔓延する事態となっています。日本でも新型コロナウイルスの影響を大いに受け、飲食店の営業自粛や過去に類をみない円安の為替により、日本経済に大きな打撃を与えました。それだけにとどまらず、少子高齢化と人口減少、国内GDPの相対的低下、近い将来に発生すると予測される南海トラフ大地震など、先行きの読めない未曽有の時代となっています。
しかし、このような時代だからこそ、人々が知恵を集結して力を合わせ、新たな可能性を切り拓いていく必要があります。そしてその礎となる質的価値は、高砂に多く存在しています。高砂は秋季例大祭をはじめとした地域行事があり、謡曲高砂や北前船などの歴史と文化と歴史に彩られた財産があります。また、高砂は播磨臨海工業地帯の一角として工業の発展と雇用の創出にも一役買っています。
この高砂にある質的価値を発信するにあたって、近年の情報通信技術の発達によりインターネット等を経由しての発信が非常に容易になって、誰もが知りたい情報に簡単にアクセスできるようになっています。これは反面、インターネット上には多種多様な情報に溢れていることから、情報入手者の興味関心の枠外にあるものや、インターネットのスクリーニングにかけられて検索順位が低いものなどは、情報を発信していても伝達にまで繋がらないこともありえます。情報が埋没しないように理想の受け手に伝えることは困難が伴いますが、上記の高砂の魅力や質的価値があれば、闇夜に輝く一筋の星の光明のように、浮かび上がらせることもできるものと確信しています。
高砂の歴史文化や地域的特徴を対外的にアピールするには、高砂に関わる人々が知恵と力を合わせる必要があります。人はそれぞれ歩んできた人生が異なり、経験・体験してきたことも異なるので、当然ものの見方や考え方も異なります。まちづくりにおいて、十人十色の生き方や価値観を踏まえた議論をすれば、高砂の魅力や質的価値に対して様々な角度から光をあてて、最も輝く方向を見出すことができます。そしてその方向に一丸となって向かえば、先の見えない不安を取り払い、必ず明るい豊かな社会を築いていくことができるものと信じています。そうすることで、高砂の魅力や質的価値を発信するのみならず、そこから注目してもらって求心力あるものに繋がっていくものになります。
- 日本の義務教育の水準は世界的にも高いレベルにあります。義務教育を経た後の高校大学への進学率も高く、若者の学問的素養は学歴等で一定程度の予測が可能であるといえます。一方、青少年を取り巻く環境に関する大きな変化として、2022年4月より、成年年齢が20歳から18歳に引き下げられました。成年年齢が引き下げられたことで、18歳から選挙権が認められたことや、親の同意なくアパートの賃貸借契約やクレジットカードの契約等ができるようになりました。これらについては、小・中・高等学校でも選挙の勉強や消費者教育などを充実させる取り組みがなされていますが、むしろ机上の勉強だけではなく、様々な実体験から自身の価値観や評価指標を築いていくことが重要であると考えています。選挙で誰に・どの政党に投票するかは自身の価値観や将来への期待等が大きく影響しますし、契約においてリスクやデメリットまでしっかり予測ができるだけの経験・思考の柔軟性があるかということが、これから18歳で成年となる現在の青少年にとって必要かつ重要なことであるといえます。
また、時代は機械化、AI化が進み、反復継続する作業はすでに人から機械への代替がなされています。今後AIが発達すると、これまでは人しかできなかった作業や仕事が機械に奪取されていくことが予想されます。そうすると、これからの時代に必要とされる能力や技能は、他の人々と競合して比較対照されるようなものではなく、その人の好奇心と経験から生み出される唯一無二のものになってくるといえます。
このような課題を解決しようとするとき、我々青年会議所メンバーをはじめとした人生の先輩との芝蘭結契が重要となってきます。青少年は大人より人生経験が短いので、大人との交流の中で学校の勉強だけでは学べない知識や経験を得ることができます。それは、今後の人生にとって良い影響となりますし、人生の選択に迷ったときには相談相手になって問題解決の糸口となることも期待できます。青少年には、高砂青年会議所の運動・活動を通して、自分なりの価値観や評価指標を築いていってもらいたいと思っています。それは、他の人と同じものである必要はないと考えています。周りの人々と同じ行動をするだけでは、先行きの見えない現代社会において時代を切り拓く一歩を踏み出すことはできません。まずは自分なりの価値観や評価指標を持って、青少年の柔軟な発想と行動力で、新たな時代を切り拓くイノベーションをおこし、未来への躍動をしてもらいたいと考えます。
また、日本には伝統ある国技が存在し、それを青少年に体験してもらうことも、未来へ躍動する1つのきっかけになる可能性があります。伝統ある国技を体験することで礼の精神を学び、勝敗を超えて友情や絆の大切さを認識し、互いを尊重して認め合う心を醸成します。
- 青年会議所は営利を求める団体ではありません。青年会議所が存続するためには、会員によって組織が構成されている必要があります。
高砂青年会議所はこれまでまちのため、市民のために素晴らしい運動・活動をしてきたと自負していますが、メンバーが少なくなるとその運動の大きさにも影響します。これからも引き続きまちのために活動するには、自らの想いに責任をもって行動できる人が多く在籍している組織であることが望まれます。そのための第一歩として、まずはメンバー各々が青年会議所活動に対して深い理解を示すことが必要です。人の集団において目的への共通認識があり、それに向かって足並みをそろえることができるかは非常に重要なことです。例えば、同じ電車に乗っている人々は、向かう方向は同じでも降りる駅は違いますし、目的も出勤や買い物、友人に会いにいくなど、様々です。この電車に乗っている人には、目的に対する共通認識がないため、人の集合体ではあるものの、組織として機能していないことは分かるかと思います。高砂青年会議所でも、ただ青年会議所に所属しているというだけにならないために、どのようなことが目的で、それに向かってどのような行動をとるのかをメンバー全員が共通認識として把握している必要があります。この共通認識には、目的のみならず、組織運営の方法や計画書等の作成方法など、プロパー面も含まれますので、そのこともしっかり把握していただきたいと思います。
メンバー全員が目的に対する共通認識を持って取り組みを行っていくには、メンバー相互の交流が重要となります。この交流に際して、自らの信念や意見を他のメンバーに話して議論をすることで、より質の高いものにしていくことができます。そうすることで、メンバーは自信を持って言動ができるようになっていきますので、そのための環境作り・機会作りを進めて参ります。自信と信念を持った人は魅力的に見えます。そのような魅力あふれるメンバーで構成された青年会議所であれば、まちや市民からも期待され、また新入会員候補者にたいしては、ともに成長したいとの思いを抱いてもらうきっかけとなって入会にもつながります。これがメンバーの自己成長や人づくり、そして組織の強化という好循環に繋がるものです。
以上のように、盤石な基盤の組織構築のために、メンバー全員が髙砂青年会議所の運動・活動の目的に対して共通認識を持ち、そのことについてメンバー同士で話し合うこと、その前提として高砂青年会議所のことやルール等をきちんと知ってもらうようにします。
- 高砂青年会議所は現在、30名に満たないメンバーで活動しています。
会員拡大はここ数年でも大きな課題であり、2021年に行われた高砂青年会議所創立60周年記念式典では「未来への宣言」という5か年計画の中で、2024年までに会員30名にすることを目標に掲げて、現在取り組みを行っています。ここ数年は卒業生より新入会員の人数のほうが多く、良い流れを掴みつつあります。この勢いを継続させるためには、メンバー全員が会員拡大活動を実施できる環境を整え、メンバー一丸となってこれまで以上に積極的に取り組んでいく必要があります。新入会員が増えることは、組織にとって新たな価値観や人生経験を有した人物が高砂青年会議所に参画することになるので、運動や活動に対する新たな光の当て方が増えることになります。これは、既存メンバーだけでは見えていなかったものの見方ができ、よりよい活動に向けて議論のきっかけとなるものともいえます。また、メンバーの人数の観点では、メンバー数が増えれば増えるほど活動できる内容や規模に広がりが出てくるので、より積極的な運動・活動ができて市民に広く知ってもらうことにも繋がります。
新入会員にとってみても、青年会議所に入会することは、まちの発展のためであるとともに、自己成長の機会でもあります。新入会員候補者が抱える課題を、青年会議所メンバーがともに考え、ともに取り組んでいくことができる可能性は大いにあります。メンバーは様々な観点から、新入会員候補者の興味関心を引く手法を考えて行動していただきたいと思います。
- スローガンの「ハーモニー」を和訳すると、協和する音や調和と言われます。豊かな社会の実現は、個人の力だけでなしえるものでないのは当然ですが、高砂青年会議所だけでもできることには限界があります。個々人の活動を単音とすると、人数が増えれば音が重なり合うことになります。しかし、共通の目的なくただ音を奏でるだけでは、雑音にしかなりません。複数の人々が、楽譜という共通目的を持って音を重ねて響かせることで、それは美しい「ハーモニー」に変わります。
まずは高砂青年会議所のメンバーが足並みをそろえ、未来のまちづくりのために美しいハーモニーを響かせましょう。そしてそれが市民や関係団体に届き、共創して取り組むことができれば、ハーモニーはさらに広がります。青年会議所活動は、人とのつながりを深め、社会とのつながりを深めることができる素晴らしい環境です。そのような中で、関係する全員がまちづくりのオーケストラとなって、私たちが目指す明るい豊かな社会の実現のために、美しいハーモニーを奏でて、新たな時代の懸け橋となる役割を担っていきましょう。